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いけばな随想
diary

空気を閉じ込める 250817

2025/8/17

 暑過ぎて、庭仕事もままならない。“うどんこ病”の百日紅の花は早く終わり、道路にはみ出した枝から弱った葉が散っている。近所迷惑になるから数日おきに雨水溝周りまで掃除をするが、敷地内は汚い。
 アジサイの大きな葉と草イチゴの小さめの葉が繁った一角は、それらが重なって覆いかぶさり、地面近くに小さな空洞が暗い口を開いている。向かいの家猫の毎日のパトロールコースに続くトンネルだ。
 田舎の辺鄙な入り江などは、ウバメガシの小さな森の茂みを抜けると目を開けていられないくらい眩しい波打際が現れたりして、繁った草木のその向こう側は異界のように感じられる。海辺の大きい茂みにも、庭の小さい茂みにも、植物に閉じ込められた秘密の王国が隠されているのだ。
 いけばなは、花木をいけて空間を創り出す。枝を1本足すごとに空間が大きくなっていくのは、いけばな空間の花木の密度が低い場合だ。逆に植物の密度を高めていけば、その外側の空間は意識されなくなり、植物に閉じ込められた内部空間に意識が向くようだ。“空洞のための隠れ家”をこっそり作るいけばなも素敵だろう。

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