汀州Japanlogo 汀州Japanlogo

いけばな随想
diary

スタイル 250905

2025/9/5

 ピカソは、表現のスタイルを変え、多様な表現による作品群を遺した。例えば東山魁夷には、ピカソに比べると類語反復的な作品が多く、見る者が作者の心情を追体験できるくらい、それらの作品は必然的に描かれたと感じられる。私がうわべで知っている日本画家にはその傾向が強く、毎年繰り返される四季が、それでも少しずつ違っているよという如く、マイナーチェンジを繰り返しながら同じテーマを追求する。
 ただし彼らも人間なので、偶発的に思いがけない作品をつくることがあると思う。それを、世間に発表するかどうか、おそらく自分の手元に隠し持っている作品もあるのではないだろうか。現代語で言うセルフ・ブランディングである。
 そんな日本的アート界にあって、ピカソ的スタイルで制作したのが勅使河原蒼風なのではないか。類語反復を意識的に避けて、脱皮につぐ脱皮を繰り返すには、大きな包摂力と強い意志の力が必要だ。
 私はそれを目指したい気持ちはありながら、単なる飽き性だから継続性が保てないという性格と、惰性的に自分のスタイルを踏襲してしまう安易さを脱ぎ捨てられない。

講師紹介