道 251011
2025/10/12
昨晩、むかし勤めていた会社のOB会に行った。定年退職を迎える社員が少ない伸び盛りの会社で、多くが中途で転職していた。同じような境遇の者たちだからと思って半ば安心して出席してみると、私がほぼ最年長だったので肩身が狭くやや緊張したのだった。
しかし、同じ釜の飯を食った者同士は、転職して別の“山”を登っていたかのように見えて、実はやっぱり同じ山を登り続けていたのだと感じた。就業当時は、意見の相違やスタイルの違いが浮き彫りになることもあったが、振り返ってみれば大した差ではなかった。
いけばなの“山”も、富士山どころではなく登山道は流派の数以上に無数にあって、しかし、登ろうとしている山は同じかもしれないのである。文明開化から高度成長期までは、いけばなも隆盛期を迎えていたから互いに競争していれば良かった。けれども、今は足の引っ張り合いをしている場合ではない。
異なる道で同じ山の登頂を目指している良きライバルとして、応援し合うことや時として助け合うことが必要である。問題は村社会の伝統から全然抜け出せない田舎のいけばな界である。