影向の松 251014
2025/10/14
靖国神社参拝の話になると神性よりも政治性がクローズアップされ、戦没者を慰霊するという性格が共通するため、護国神社に対しても国によって創建されたという誤解も加わって、“さわらぬ神”扱いを受けることになる。日常生活においても、神性というのは常に私たちの身の回りにありながら、常に見過ごされるようになった。
神社で献花する花を選ぶ際、その筆頭となるのは黄菊である。今でこそ通年で用意できるが、本来は秋の花なので春や夏はどうしていたのだろうか。枝ものについてはよくわからないながら、花札の“赤たん”の役の組み合わせで有名な松梅桜は、それぞれ1月、2月、3月を代表する縁起の良い木だと思う。
季節に左右されないということでは、常緑樹の榊(サカキ)であれば、神事でいつも使えることから、玉串で奉納するにも具合が良かったということだろう。松や椿も、花ではなく葉の緑を生かすには都合がよい。
神様はたいていどこか遠いところにおられて、稀に降りておいでになる。それを影向(ようごう)と言うのだそうで、能舞台の背景にも「影向の松」が描かれている。