美意識 251216
2025/12/16
フォトグラファーをしている教え子の個展に行った。厳選された作品が、2階の1部屋に6点と、真上の3階に1点。暖房器具のない底冷えのする部屋に、ヒーリング・ミュージックが小音量で流れる。アパートの空き部屋を臨時的にギャラリーとしている会場である。
ウェディングドレスの女性の肩から下が水の中に<沈んで>いる写真は、左が上で右が下なので、じっと見ていると重力の感覚がおかしくなる。水の中に<浮かんで>いるとも、泳いでいるとも見える。1980年代(?)に注目された、実験的映像作家トニー・ヒルの『ウォーター・ワーク』という短編映画を連想した。
なぜ、駐車場もない場所で個展を開くのか、なぜアパートの天井と壁を剥がした暖房のない部屋を使うのか、なぜ芳名帳を置かないのか、なぜ7点しか展示しないのか、なぜ1点だけのためにもう1部屋用意したのか、なぜピントの合っていない作品だけなのか、なぜ手漉き和紙風の洋紙にプリントしたのか、なぜ客が見ている間ずっと土間で立ち尽くしているのか……。
解る気がして、全部を聞くことはしなかった。彼の美意識である。