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いけばな随想
diary

落とし物 260117

2026/1/17

 終活の呼び名の下に、不用物を減らす生活の持って行きかたは、頼りなかった人生をエッジを立ててまとめ上げる最後のチャンスである。せっかくいけばなで訓練してきたのだから、その手法を大いに活用したいところだ。
 いけばなでは、大枝であればあるほど不要な枝を切り落とす。小枝を5本切るよりも、大枝1本切る方が、全体の印象を形づくるためには有効だ。そして、定めをつけた主要な枝を1~2本強調させ、そのイメージを助けたり強調したりする数本の花材だけでまとめ上げると、シンプルで力強い作品が出来上がる。
 ところが、人生において張り伸ばしてきた何本もの大枝は、1本といえど切り落としにくい。そこで、どうでもいいような細々としたゴミみたいなものだけしか捨てられないから、人生の様相はほとんど変わらないことになる。
 一方、人生では、落とし物は拾い直すことも不可能ではないし、忘れ物も思い出せば取りに帰ることができるが、いけばなでは、切り落した枝を元に戻すことはできないから、方針を変更して残った枝で何とか解決するか、新しい枝を持って来て足すしかない。

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