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いけばな随想
diary

表現のウラオモテ 260123

2026/1/23

 悲しいから涙を流す表現と、悲しいから涙をこらえるという表現とがドラマにはある。俳優は、彼の経験や想像力によって、台本の真意を探りつつリアリティのある演技を追究しなくてはならない。また、一般人の一般的な見方では、能面は表情の乏しいことと見なされがちだが、鑑賞に慣れた人にとっては、隠された心をより深く感じさせる誇張された表情にも見えるそうだ。
 これらのことから言えるのは、大袈裟で直接的な表現は、その派手さによって却って噓臭く感じさせる惧れがあるということだ。“陰ながら”“秘かに”“むせび泣く”というところに、悲しみの深さが感じられるというもので、“髪を振り乱して”“地面に頭を打ち付けながら”“オイオイ泣く”のは、近隣の某国の悲しみ方の流儀で、日本人にはそういう泣き方が理解しがたい。
 また逆に、いけばなをインターナショナル化しようとする意図のもとでは、ある程度の単純化や形式化も必要で、解りやすくなければ広まらないというジレンマもある。
 しかし、先を見てしまった者が、あえて現在地に留まったり後戻りするのは愚かである。

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