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いけばな随想
diary

自然と不自然 260205

2026/2/5

 人の手を加えていない生来の環境や事物を呼ぶときの「自然」と、人の手を加えながらも環境や事物の持ち味を極力生かした「自然な感じ」とがあって、その先に、人間に居心地の良い状態にかなり手を加えた「人工」がある。そしてまた一方に、野にあるようにいけた屋内の花という「不自然」もある。
 人工的なものというのは、人の手というよりも機械の手を加えたものが多い。しかし、日本家屋の壁材によく使われていた「焼杉」は、自然な木目を生かし、不自然でない焼きを入れて、庭木などとも馴染むような建材なので、あまり人工的な印象はしない。安藤忠雄に代表されるコンクリート打ちっ放しの建物も、いけばなが似合わないかというとそうではなく、いけばなをよく引き立ててくれる。でもそれは、いけばなが既に人工的だからなのかもしれない。
 野にないようにいけた花は、もう自然の花ではない。焼杉と同じ領域に棲む植物なのかもしれない。人の手が加わる以上、生来の自然を求めてもだめだ。
 この世の中に、どんないけばなにも適した空間などない。どんないけばなにも適さない空間もないが。

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