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いけばな随想
diary

いけばなの文化 240622

2024/6/23

チンパンジーの世界には、文化の差があるという(『想像するちから』松沢哲郎著)。石器を使ってヤシの種を割ってその核を食べるグループがいれば、シロアリの塚(巣)の穴に細い棒を突っ込んで“シロアリ釣り”をするグループもいたりする。

日本人はいけばなをするが、いけばなをしない民族もいる。文化の差は何かといえば、想像力を働かせる関心の対象が違うということ。動物や花の呼び名を子供に付ける民族と表意文字で名前を付ける民族。魚の干物づくりに長けた民族と肉でソーセージをつくることに長けた民族。

いけばなをしてきた日本人は、いけばなのどういうところに関心を寄せ、想像力を逞しくしてきたのだろうか。縁側という緩衝地帯を挟んで、日本人は外界の花を室内に取り込んできた。同時に自分の心や感覚を外に泳がせて、枯山水をつくったり築山を盛ったりした。

ツバメが飛んでくると春の訪れを感じ取り、初ガツオで初夏を感じ、ウナギを食べて夏を迎える。食べ物に関心が向く私だが、要は、日本人は季節と旬の物の関連付けが大好きなのだ。季節と花の関連付けも同じだろう。

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