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いけばな随想
diary

いけばなの見方 240114

2024/1/15

いけばな展の会場で、私はできるだけ1点か2点に目を付ける。多くても4点までに絞る。私の目線は、それらの作品に注がれて、記憶の中の作品と見比べられる。記憶の中の作品がいくつあるのか、自分でもわからない。しかし、目の前の作品に触発されて、記憶の倉庫から、ベンチマークとなっている作品像が立ち上ってくる。

そのとき、「いけばな」の領域内の作品と見比べることで、いけばなの世界により深く入っていくこともあれば、領域外の彫刻やインスタレーションを思い浮かべて、「いけばな」の核心を離れ、目前の作品にすら背を向けてしまうような見方をすることもある。

内に向かう見方をしているとき、私は目で見ていながら、枝葉のしなりや傾きのつくり方を自分の手でトレースするように、いわば手で見ている。作家の創作精神への共感が膨らむのだ。

外に向かう見方をするときは、目で見ていながら、その作品が置かれた部屋全体のことや、作品間の距離なども気になりつつ、未来のいけばな展にまで心が行ってしまう。おこがましくも、その作品を夢想のための踏切板にしているのだった。

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