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いけばな随想
diary

いけばなの訴求力 241010

2024/10/17

アートには様々なジャンルがある。いけばなもアートの1ジャンルだと思っているが、いけばなの特殊性に改めて着眼したいと思う。

絵画や彫刻の展覧会場では、作品から香りが立ち昇ってこないが、いけばなは、見ているその場で香りも立ちのぼっている。また、いけばなは、見ているその場で花が開き始めたりしぼみ始めたりする。花びらが1枚落ちたり、実がはじけたりして、時間経過と共に微妙に姿を変えるのだ。だから、視覚だけで捉えるのはもったいない。作品によっては触ってもいい。五感をそれぞれ独立させて見るのではなく、五感を総動員して協同させて見てほしい。

いけばなは、花と人との共同作業だ。しかも、花の方から積極的に話しかけてはくれないから、意思疎通に失敗することもある。花の言葉を知らない私は、いけばなを始めて十数年間は、花とのパートナーシップがうまくいかなかった。だからこそ、予想外の展開や結末を楽しめる。作者自身が予測できていないワンダラスな取組だと思う。

この、予測不可能性を持っていることが、いけばなの生き物的な魅力であり、力なのだと思う。

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