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いけばな随想
diary

いけばなは未完の物語Ⅱ 240203

2024/2/3

花瓶に草物の花だけをいけると、全部が同じ頃に枯れ始める。しかし、いけばなでは、枝物などを草物と併せて使うので、枯れ始めるのに時間差が生まれる。草物が枯れても、もったいないから枝物は残しておく。水を替えながら大事に扱えば、2か月も元気でいてくれることもある。

偉そうな場面だけでなく、家庭でも花を上手にいけられないと、昔は姑から嫌味を言われた。花をいけるのは毎日のことなので、枯れない枝物に対して、花のあしらいを替えて臨んだ。各家庭に普通にあった「ぬか床」のように、ずーっと「古いまま新しく」し続けていく、切れ目も終わりもない行為。

これを思うと、いけばなは、芸術というより生活文化なのかもしれないが、日本人は、ただ花をいけることで済ませられず、それを華道にまで高めた。

日本人は、生活と芸術、生活と宗教、生活と哲学というふうに分けることをして来なかったから、芸術や宗教や哲学などと取り沙汰されると苦手だと敬遠したけれど、いやいやどうして、日本人だけが、生活の中に華道や書道や茶道などを平気で溶け込ませて来たのではないだろうか。

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