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いけばな随想
diary

いけばなは空気の入れ物 240221

2024/2/29

いけばなは、土や鉄で作られた彫刻(密度の高いボリュームをもった作品)に比べて、密度が低い。密集しているように見えても、枝と枝、葉と葉の間には、何もない空間が秘められていて、それは、花材の分量よりも遥かに大きい“余白”である。

自然界で大地に生育する木々も、風が抜ける空間がなければ、虫がついたり腐ってしまったりする。

空間を抱えている点で、木々は入れ物の性格を持っている。隙間だらけの解放された入れ物なので、どこからでも小鳥が入っては出ていく。季節ごとに、いろいろな鳥がくる。近所に暮らす猫も、時折葉の繁りの中で休んでいる。さては、獲物の小鳥を狙っているのか? そしておそらく、たまに神様も降りて来られるのだろう。それで、大昔から、木々が神様の依代とされてきたのかどうかは知らない。

話を元に戻すと、いけばなは空間を大きくつくっていく。自然界の木々に倣って、いけた枝や花で空気を大きく取り込んで、そこに気配を宿す。私は太極拳を知らないが、イメージとしては、自分の体ではなく植物の体を使って太極拳をしているようなイメージもある。

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