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いけばな随想
diary

いけばなは贅沢だ 240409

2024/4/13

 食べてしまうと影も形もなくなるから、食べ物にお金をかけることは贅沢だと考えられなくはないが、最終的に栄養になって身に付く点では、食事はとても効率的だ。
 その点、花束のプレゼントは、食べ物のプレゼント以上に贅沢かもしれない。数日で萎れてしまう上に、全く腹の足しにならない。だからこそ、心の足しにしてもらえるのであって、消える宿命を持っているところに花束のプレゼントの素敵さがある。
 ここに至って、さらに素晴らしいのがいけばなである。鉢植えも、花のアレンジメントも花束も、どこかで買って誰かにあげることができる。しかし、いけばなは、そうはいかない。買える店がないし、そもそも「場」を抜きにして一人歩きできないのがいけばなである。だから、物としてプレゼントできない。それでもプレゼントしたい場合は、いけばなを、その場所でいけてあげることになる。
 腹の足しにならないし、プレゼントにも適さない。いけばなは孤高なのだ。深窓の令嬢なのだ。そんないけばなを習うという人は、とても贅沢なことをしていると自覚して、質の高い暮らしをしてほしい。

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