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いけばな随想
diary

いけばなをどう撮影するか 240224

2024/3/3

いけばなは空間をつくる。いけばなは空気の入れ物。

そんなことを予め言われて、フォトグラファーはどう撮ればいいのだろう。当然、ピントは花びらの1枚、おしべの1本に合わせられる。ところが、いけばなの人が、私は空間をつくったのです、この作品には気配を宿していますと七面倒臭いことを言うもんだから、空気にもピントを合わせる必要がある。かといって、空気空間にピントを合わせて、花にも葉にもピントが合っていなかったら、このカットの撮影は失敗したの? と失礼なことを言われてしまう。作者にしてみれば、花も空気も上手く撮るのがプロでしょうと、本気で思っているのだ。

結局のところ、いけばなをつくった本人に撮り方はわからないし、撮る側は、そのいけばな作品の意図する主題が見えにくい。それで、作品から距離を置いた写真と、作品の一部が画角からはみ出すくらいクローズアップした写真を両端として、その距離の間を埋める写真を何枚か撮ることになる。

皮肉なことに、広い空間の全景写真は平面的に見え、寄りに寄ってはみ出た写真は空気を含む奥行きと気配が写り込む。

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