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いけばな随想
diary

いけばな展 240117

2024/1/17

若い頃、ロックコンサートや芝居によく行った。歳を取り、コンサートや芝居に行くことが減った分、美術館に行くことが少し増えた。

コンサートは、ステージと客席の一体感が堪らない。美術展は、仮に友人同士で行ったとしても、それぞれ個々のペースで自分の鑑賞の仕方に沈潜する感じだ。不思議なのは映画館だろうか。暗い場所で1人ひとりがスクリーンと向かい合っているのに、何だか客同士の仲間意識も感じられる。

そんな中で、いけばな展に行ったとき、私はいつも物足りない。だから、1つの作品の前での滞在時間が、美術展のときに比べて格段に短い。私自身がいけばなに興味があるのに、いざ見てやろうとすると、あまり関心がない人のような見方をしている。

原因は、作品が鑑賞に堪えるように展示されていないからだ。そしてその原因となっているのは、たいていのいけばな展は、多目的の展示室でただ展示台に並べられていることである。目黒雅叙園等で開催されるいけばな展に見ごたえがあるのは、作品と作品を包み込む空間とが一体的になって、本来のいけばなを丸ごと見せているからだ。

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