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いけばな随想
diary

どれも正しい 250403

2025/4/4

 こっちが正しいと主張すればするほど、あっちが正しいという理由が出てくる。そうなのだ。一切主張しないところには反論も反証も出て来ないが、何かをチョロッと主張するとチョロッと反対意見が出され、グイッと主張するとグイッと反論がなされる。
 正しさというのは100対0ではなくて、落ち着いて眺めれば眺めるほど50対50に近付く。正しいと思っても思い込みにならない余裕を持たなければ、しっぺ返しが来る。逆にこれはもうだめだと諦めかけたときに判断は間違っていなかったと救われたりする。
 いけばなの世界には正しさの基準はない。良し悪しを評価するいくつかのポイントはあり、いけばな各流派で互いに違いはあっても評価結果はある程度一致することが少なくない。
「この枝はもう少し長い方が良かったですか?」と生徒さんから聞かれたら、「長い方が良かったですね」と答えることも「短くていいです」と答えることもできる。もう少し突っ込むと、「テキストに倣えばもう少し長い方が」と答えるか「あなたらしさを出すには短い方が」と答えるか、私にはどちらも許されている。

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