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いけばな随想
diary

イメージの羽ばたき 241014

2024/10/18

人はゼロから何かを生み出すことはできない。いけばなを創作するにも、花材のことを何も知らないでそれを使うことはできないし、ネジ釘やワイヤーの存在を知らずに竹を組むこともできない。

また、先人の作品を知っていて、いけばな世界の広がりを地図化することができるから、自分の進路を設定することも可能になる。できれば、これまで誰もつくらなかったもの、さらにできれば、この先も誰もつくらないものを目指したい気持ちがある。目の前で見た他人の作品の発想や形状の一部を取り込みたくなるものだけれど、目に見えていないものをつくりたい欲求が上回る。

しかし、時には人の作品への嫉妬や、世間の目に対する躊躇などによって、自分のイメージが全然羽ばたかないこともある。心が乱れると小さな悪いイメージがたくさん湧いてきて、想像力が閉ざされ、些細な現実的問題に右往左往することになる。

個性的な作品を創作するという場合でも、結局は他人や他の作品の一部または全体的イメージを模倣して組み合わせているに過ぎないが、この諦めを受け入れることで、改めて再出発ができる。

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