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いけばな随想
diary

ゴミのいけばな 250309

2025/3/9

 流木や枯枝がいけばなに使われているのを見て、ゴミみたいだと思ったことがあったらそれは幸せなことではない。家庭ゴミから核のゴミまでゴミ呼ばわりされるものはたくさんあって、ゴミに共通しているのは1つ1つが固有の名称で呼ばれないことだ。
 ゴミに似ている存在として雑草がある。これも個別の名前で呼んでもらえない。ゴミとゴミでないもの、雑草と雑草でないものの境界はあいまいで、誰もはっきりとは線引きできない。
 絵画展に行くと、作品の横に作品名と作者が掲示されている。制作年や画法とか画材を書いていることはあっても、どこのメーカーの何色の絵具を使っているかは書いていない。観客は絵具を見に行っているわけではないからだ。
 勇気がなくてやったことはないけれど、雑草のいけばなやゴミのいけばなを展示してみたい。これは、いけばなを見てくれる人への踏絵のような挑戦で、使っている花木の名前を見て得心がいく人は、花そのものを見に来ている可能性が高い。「花材:ゴミと雑草」で見入ってくれる人こそが、花よりもいけばな全体を作品として見てくれていると思う。

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