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いけばな随想
diary

スケッチの効用 240425

2024/5/6

 スケッチといけばな作品との関係が緊密であることは、昨日述べた通りである。そして、スケッチは自分の作品制作に貢献するだけでなく、他人の作品を鑑賞する上でも相当役に立つ。
 というのは、作品をスケッチするように眺めることで、長さや角度、ボリュームや奥行など形状を大まかに把握しやすくなる上に、カメラに記録するだけでは気付かないことにたくさん出会えることから、制作の意図まで容易に想像できてしまうからだ。
 スケッチで捉えなおすよう鍛えた目で見ることで、写真に撮るだけでは漠然と見逃してしまう特徴をリアルに体感できる。「あの枝は重そうだが、どう支えているんんだろう」「あの花は宙に浮いているが、どうやって水を補給しているんだろう」というように、作品の成り立ちを探る目が養われる。それは決して一般的な見方ではないかもしれないが、疑問や納得の数が、結局自分のいけばなの上達のカギとなる。
 スケッチをすることは、いけばなを“目で見る”だけでなく“手でも見る”ことによって、自分と他人のいけばなが頭と体に沁み込むように理解できるようになる。

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