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いけばな随想
diary

ダンディー 240529

2024/6/2

1980年頃だろうか。学生が学生運動やヒッピーなどの文化にくるりと背を向けて、シティボーイやダンディーを意識し始めたのは。

その頃の私の本棚(酒屋の店先から盗んできた瓶ビールのケース)の一角には、吉行淳之介や筒井康隆の文庫本に混じって、『ルパン三世』(モンキー・パンチ)や『ゴルゴ13』(さいとう・たかを)なども並んでいたような気がする。学生時代の4年間、ベッドもビールケースだった。

ビールケースを盗んできては、自室のあらゆる家具として使うことには、一種の気取りがあった。金がない学生を気取っていた。アルバイトに明け暮れていたから、生活費がないわけではなかったが、レコードと本を買い、映画と演劇を見て明け方まで酒を飲むことに金は使った。そのかわり、食事は3合飯にマーガリンと胡麻塩をかけて食べていたのは、気取り以外の何ものでもない。

あれから40年も経ったのに、今でも気取って生きている。気取っていないように見せかけて気取っている。私が表現したいいけばなも、気取らないことを気取るダンディーないけばな、そうなんだ、そう思う。

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