バイタリティ 240626
2024/6/27
1900年代の華道界を細かい取材に基づいて表した小説(ドキュメンタリー?)『華日記(早坂暁著)』を読んで衝撃を受けた。私は、華道界に対して、ひたすら「済みません。済みません」と声には出さずに謝っていた。
この衝撃の源は、登場人物全てがバイタリティに富んでいたことだ。自己PRへの貪欲さ、競争への勇気と体力、1つに没頭することのできる諦念の激しさ等々、私がかつて持ったことのない覚悟や情熱が描かれていた。
描かれているのが草月の人であるか、池坊の人であるかは、もうどうでもよかった。その時代の日本の「いけばな人」が共通に持っていたであろうバイタリティ、それが「あった」ということがわかっただけで、もうそれ以上の具体的なことはどうでもよかった。あの人たちは、華道のみに生きていたのかもしれない。
私は、心筋梗塞で救急搬送されたとき、担当医に「私はタバコを吸うために生きてきましたから」と憎まれ口を叩いて気を悪くさせた。次の言葉を時々思い返す。「人はうまいものを食うために生きているのか、それともよりよく生きるために食っているのか」