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いけばな随想
diary

フリや素振り 240607

2024/6/7

他人の批判を意に介さない人がいる。無神経なわけではなく、気にしていても気にならないフリを装うのだ。政治家に多い。

逆に、他人の噂話を神経質に思い悩む人がいる。悩んでもいない癖に、小心な素振りを顔に表しているのである。芸術家に多い。

どちらも、相手からさんざん「役者やのー!」と言われる。前者は強がるフリをする役者で、後者は弱い素振りをする役者である。前者は弱い者いじめが好きで、後者は強い者に楯突くのが好きだったり、「どうせ俺は……」を口癖にして文句ばかり言っていたりする。華道家は後者に属する。

いけばなは、絵画や音楽のように多くを語れないし、詩や俳句のように言語表現できないので、表現したい内容を見る人に伝えにくい。せいぜい「綺麗だわね」とか「萎れているじゃない」くらいの感想しかいただけない。だから、もう少し気持ちを汲んでもらったり、あわよくば分かってもらったりしたいのだ。

そこで、枝をブチッと「折り矯め」して屈曲した文人面を見せてみるのだ。敢えて枯葉をいけて無常を表してみるのだ。綺麗なだけじゃない素振りを見せるのだ。

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