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いけばな随想
diary

ブロック塀 231113

2023/11/13

 私の教室の老朽化した塀を造り替えるとき、コンクリートブロック7段積みを5段にしました。生垣にする選択肢もありましたが、落葉が道路に散乱する光景を恐れました。しかし、7段積みだと内外が完全に遮られてしまうと考え、視界が開ける高さに抑えたのです。
 いま、いけばなに現(うつつ)を抜かす身になると、今度はブロックの工業製品っぽい質感が気になり始めました。フランスにだって、アメリカにだってブロック塀はありますが、なぜか日本のブロック塀のダサい感じが気になるのです。それは、日本の職人さんの仕上げがきちんとし過ぎる点にもあると思います。仕上げに隙がありません。写真で見る限り、ヨーロッパのブロック塀の造りはいい加減で、内と外をつなぐヌケ感があります。
 日本人の弱味は、きちんとし過ぎることにあります。曖昧さを好んだ日本人が、今は欧米人以上に白黒はっきりさせたい人種になりました。ブロック塀はその象徴です。縁側もなくして、曖昧な空間を住居から排除しました。いけばなは、空間を侵食する、やっかいで強く、それでいて柔らかい存在です。

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