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いけばな随想
diary

一大事 231210

2023/12/13

 華道部を教えに行っている松山商業高校の階段の壁に「二流は三流を見下し、一流は二流からも学ぶ」というような箴言が掲示されている。若い頃は、私も一流になりたい気持ちが山々だったが、今となってはそんな気概も懐かしい。
 草月の師範資格は、8段階ある。私が習い始めたのは40歳で、資格のことには何の興味もなかった。資格が人格や技能のすべてを表しているなどとは思っていないものの、今は少し感じ方が変わった。資格を得るために費やした時間とお金、そして手間暇などは、少なくとも自分の心構えか腕前を一人前にするためには必要なのだったと実感する。
 かつて、後輩に、「絵は買い始めてから、本当にわかるようになる」というようなことを聞かされた。展覧会場で絵を観るうちは他人事でも、いざ金を払って買うとなれば自分事の一大事だ。この「一大事」をどう自分に課すかが、その本人の行く末を照らすこともあろう。
 進学や就職を目指す高校3年生には、受験の一大事が降りかかる。しかし、他人や社会から課せられた一大事がなかなか身にならないのは、社会人も同じだ。

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