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いけばな随想
diary

三角測量 250219

2025/2/20

 いわゆる土木建築の三角測量のことではなく、この言葉の持つ感じがいいというだけのことなので御免なさい。
 いけばなは空間的なものなので、どの角度からも見られてしまう宿命を負っている。かつて『モナリザ』を観にいった時、誰もが絵の正面から観たいばかりに押し合いへし合いしてポジション取りに余念がなかった。いけばなにも作者には正面はコチラという意図があるのだろうけれど、そこは絵画ほどではない。歩きながら見ると姿かたちが変わるさまは捨て難い。
 考えてみれば、山の大木なんて下から見上げたことしかなかったではないか! それがドローンによって真上からもみることができるようになって、人間が見られる景色は倍増した。もとより日常生活では自分が止まっていても相手が動いていたり、またはその逆のことがほとんどで、自分も相手も止まっているなどということがあったらそれこそ特別なことである。
 だから、いけばなをいける時、テキストの作例の正面写真にあまり縛られすぎることはない。たぶん免許写真のように互いが正面を向いた夫婦生活なども、考えたくはないだろう。

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