汀州Japanlogo 汀州Japanlogo

いけばな随想
diary

人智を超える 231213

2023/12/13

 私は、1986年から2005年まで株式会社エス・ピー・シーに勤務して、そのほとんどをマーケティングに関連する業務に従事していた。
 もちろん「お客様のため」意識は持っていたつもりだ。だが、冷静に思い返すと、私の方法は、必ず自ら仮説を立て、その仮説が正しいと示すような数値や情報を集めてお客様を説得するスタイルだった。そして、問題なのは、その仮説が私自身のこだわりを軸にしていたことだ。出発点に歪みがあると、マーケティング調査は恣意的になってしまう。ごめんなさい、お客様の皆様。
 お客様が私以上に強いこだわりを持っていた場合、私があまり折れないために、両者の間に溝ができる。困ったのは、雇い主であるわが社の社長や上司もだし、部下も大いに困ったに違いない。ごめんなさい、仲間の皆様。
 いけばなをしてみるとよくわかる。私のタイプは、花材の観察がおろそかで、自我が先に立つ。
 別のタイプの人は、目の前の花材をよく見てよく触るし、匂いも嗅ぐ。そういう人が花をいけると、当然ながら私が思いもよらない素敵ないけばなができる。人智を超えて現れる。

講師紹介