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いけばな随想
diary

代用花器 250316

2025/3/16

 若い頃、1度だけジッポーのライターに憧れた。高度成長期のさなかに貧乏学生でヘビースモーカーだった私は、買えないことでなおさら海外ブランド物に対する欲求も高かった。私が上京した1978年はセブンイレブンの黎明期と重なっていて、コンビニエンスストアには使い捨て「100円ライター」がズラリと並んだ。
 貧乏学生にとっては見かけも大事だが、耐久性があって(点火可能回数1300回)安いライターは有難かった。当時は多くの喫茶店がオリジナル・マッチ箱を用意していたが、100円ライターの出現によって世の中から次第に消えていく。
 マッチもライターも、装飾品の要素を持っているとはいえる。しかし、花器については100%装飾品だと思っているから、子どもいけばな体験会などで「ペットボトルを上手に加工して花器にしましょうね」という取組は好きじゃない。どんなに素敵ないけばなをしても艶消しの台無しである。
 茶碗を花器とみなしたり、急須を花器に見立てるのは見事なことであるが、水が漏れないという機能性だけで花器に見立てるのは、色気がないというべきか。

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