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いけばな随想
diary

以心伝心 240216

2024/2/26

子供のころ、日本人の美徳として「以心伝心」をしばしば教えられた。言葉にならない真髄が理解し合える関係を、日本人同士であれば築けるというもの。現代社会では、2つの理由で困難な夢のような話だ。

まず1つは、国際化が進んで、文化の土壌もハイブリッド化していること。“純昭和的日本人”が純喫茶や純情と共に絶滅に瀕しており、明言したり明文化して説明を尽くさなければ、何事においてもコミュニケーションが成立しない。黙して切腹などしたら、誰にも理解されずそれこそ犬死にである。

もう1つは、唯物的(金銭的)な量が幸せの無二の尺度となって、相手の心を推し量るような面倒な時間も、単にコストとしてマイナスカウントされる対象となり下がったこと。むかしは、近所のおばさんや職場の上司が、なんやかんやと相談相手になってくれたかもしれないが、今はカウンセラーにお金と引き換えでしか相談できない。何でも有料の世の中だ。

それで、私も苦手意識を克服して、説明の行き届いたいけばな教室にしなければならないという思いである。芸術は解釈してはならぬのではあるが。

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