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いけばな随想
diary

伝統と前衛 240318

2024/3/21

 いけばなは、畳の和室に正座して行うものだと思っている人が少なくない。いけばなは、おとなしく上品ぶっていると想像している人も少なくない。そして華道家は、日本文化に精通していて、茶や書にも造詣が深いはずである。
 草月流と聞いた人は、「自由で前衛的ないけばなでしょう?」と言う。しかし、私の感覚では、自由は必ず不自由の向こうにあり、前衛は必ず伝統の向こうにある。つまり、不自由ないけばなをしている人は、自由の前段階を歩んでいるにすぎず、自由ないけばなをしている人は、不自由な型を越えて歩んできたのである。伝統はいずれ前衛の波に呑み込まれるし、前衛もいずれは新たな前衛に消化吸収されて、老いた伝統の引き波となっていく。
 偉そうぶってはいけない。そういえば私は、先日の草月の昇格試験で、伝統を引く「花型」の問題で失敗したばかり。まだまだしばらくは、教えることを通して基本の「花型」を学ばなければならない身であった。私など、まだまだ前衛の領域に到達していないし、型を体得してもいない。
 それにしても、世の中は先入観と誤解に満ち満ちている。

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