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いけばな随想
diary

作品の大きさ 240426

2024/5/7

 いけばな展では、作品ごとに花席と呼ばれる空間が提供される。慣例的に、小作・中作・大作に分類されることが多く、出品料はスペースの大きさに比例する。
 だいたい、キャリアの浅い人が小作を出し、キャリアのある人が大作をつくる。県展や日展の絵画を見てもそのような感じがしないではないが、初心者で大作を出す人もいるらしいし、逆に細密な小品を得意とする画家も少なくない。
 学生時代に所属していた演劇部では、初めの頃、最大限の発声と大げさな動作を促された。小さな声の持ち主は大きな声を出せないが、大きな声の持ち主ならば小さな声も出せるという理屈だ。しかし、何か月か稽古を積んでくると、「お前の動作は大き過ぎる! 真の悲しさを表現したいなら、大げさに泣かず肩だけ震わせてみろ!」と、演出家からアドバイスが来るようになった。
 人が舞台に立つ芸術文化は、演じる人が等身大の身振りで精一杯演じる。千利休の茶道の世界では、茶室がどんどん小さくなっていった。映画だけは大きい画面で見たいが、いけばな作品は、必ずしも大きさが良し悪しに結び付くわけではない。

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