写真と記憶 250305
2025/3/6
村上亘さんと直接会って、彼のトークはよく分かったし人としての村上亘に共感できたから、いずれ写真家村上亘とその作品にも共感できるだろうと思っている。
その展覧会で私の心を引き付けたのは、エドワード・ウェストンの『草と海、ビッグ・サー』というモノクロ写真だった。海を臨む丘に丈の高い細長い茎と葉の草が群生している。その地面から目線を上げていくとまばらになった草の間から海が見え、もう少し目線を上げると草の穂先の向こうは広がる空だ。もう一度目線を少し下げると視野の中央に水平線がくる。ぼやけているので、きっと春か夏だ。
ビッグ・サーが何なのかを調べると、カリフォルニアのセントラルコーストの人口が希薄な土地だという。1,500mに達するサンタルシア山脈が海岸線からわずか5キロの距離で連なっていて、海岸線は切り立つ崖である。
その風景は足摺岬の風景を思い出させた。私は南の海が好きだ。私の濃密な海の体験が、草と海の写真に私の心を引き付けた。そんな私だから、できることなら海の象徴としての流木でいけばなをシリーズ化したいと思っている。