汀州Japanlogo 汀州Japanlogo

いけばな随想
diary

利己的な利他 250420

2025/4/22

 ここ最近で気になっているのは「利他」の精神だ。先日、いけばなの生徒さんの1人から「先生は生徒に優し過ぎるんじゃないですか?」と言ってもらえて嬉しかった。もちろん優しくしようという思いがないわけではないが、そのように振る舞えないときはどうしようもないわけで、振る舞えるときは振る舞おうかなというだけなのである。
 私は消防団員のように自己犠牲的ではないし、優しく見えるとするならば、自分が居心地のいい場所を確保しておこう、できればその範囲が広い方が外圧を防御しやすいだろうという弱気の表れにしか過ぎない。
 そして重要なのは、なにより自分がそれを負担に思ったり面倒を感じたりしていないことだ。利他というのは、共同作業が得意な伝統的日本社会での身の置き方として大正解で、最終的に自分の利益にまで回してくるのに時間は掛かるが確実性が高い。
 だからすべては、いけばなに身を置く以上いけばなをやる人が増えれば増えるほど自分の居心地のいい世界は安泰になるし、自分が利他的行為をすればするほどリターンが大きいと信じている全く利己的な仕業なのだ。

講師紹介