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いけばな随想
diary

創作と準創作 240708

2024/7/8

画家の作業は、その作品で“事件”をつくり出していくような、文字通り創作的作業がある。

ところが、写真家の作業は、事件をつくり出すのではなく、事件を見つけ出す作業だ。もちろんスタジオ撮影では、スタイリストの協力を得てまさにつくり出す作業もあるとは思う。しかし、たいていの場合、写真家の存在如何にかかわらず事件はすでにソコで起こってしまっていることが多い。事件そのものをつくり出してそれを撮影するというのは、極端にいえば放火魔的行為だ。

華道家の立ち位置は、画家と写真家の中間だ。花が開いてしぼむという生長過程には積極的に参画できない点で、事件は華道家の営みに関係なく世界中で起こってしまっている。目の前のヒマワリをもっと大きくすることも、バラの茎をもっと細くすることもできないし、ユリのおしべの花粉をパッと消し去ることもできない。事件そのものには関与できない立場でありながら、事件の関係者であろうと無理に立ち入って、事件を複雑なものに仕立て上げているのだ。

いけばなは、事件の捏造と記録の歪曲という、珍妙な準創作活動であろうか?

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