力の出し入れ 250114
2025/1/14
いけばなは引き算である。これは最終的な決め文句だ。しかし、いけばな制作において、始めに花材を足さずにおいて引くことができないのは自明で、作業は足したり引いたりしながら進んでいく。
いけばなは強弱、疎密で成り立つ。これも最終的な決め文句だ。1枚の絵画を見ても、描き込んでいる部分と意図的に描き込んでいない部分があるのに気付かされる。音楽を聞いても、音の密度差や大小差、高低差などによって、単なる音が音楽として成立する。
制作する側の人間についても、力の入れ加減をコントロールできるかどうかで華道家になれるかどうかが決まる。ずっと入れっ放しだと、繊細な花茎を折ってしまったり潰したりしがちなものだ。力を入れっ放しだと、作品も息のつけない重い感じになるものである。
自動車の運転も、アクセルとブレーキを組み合わせて走りを整える。何かを成したり、何かを行うとき、相反する力を総合することが大事だ。カーリングやビリヤードは、まさに力の出し入れが求められる競技だ。力で押し切る場面と、狙ったポイントに誤差なくスッと止める場面とが両極端だ。