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いけばな随想
diary

原因と結果 240124

2024/1/24

ある花展のあと、「(玉井先生は作品制作に)手を抜いていたでしょう!」と、思い掛けない指摘をされたことがある。作品の出来栄えの良否はともかく、取組姿勢をとやかく言われるのは心外だった。

私としては、作品の展示会場を知悉していた上に、花の生産者の畑まで赴いて使う花の開花状態のコントロールを依頼し、由緒ある砥部焼の窯元へ何度か足を運んで使用する花器を貸し出していただいたり、竹ひごを組む試作を繰り返したりと、入念な準備をして臨んだのだ。

だから、努力と成果は正比例すると思いたいところだが、実際には努力が必ず報われるとは限らない。しかし、たとえば、農村復興に尽力した「二宮尊徳」は、焚き木を背負って帰りながら読書に勤しんだという美談の持ち主だが、農村復興と歩き読書とに因果関係は認めにくい。

二宮尊徳から得られる教訓は、ある結果のみを実現しようという効率的な努力は(たとえば受験勉強のように)、結果に裏切られることがあるかもしれないが、結果を必ずしも意図しない修養は何らかの良い結果をもたらすという、逆説的なものである。

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