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いけばな随想
diary

古さと良さ 240618

2024/6/18

錆びる鉄の鋏の方が、錆びないステンレスの鋏よりも愛着が湧くという話の続きだ。

それでは、誰が使ったかわからない錆びた鋏と、祖母が使っていたことがはっきりしている錆びた鋏は、どちらが自分にとって価値が高いかというと後者である。

ところで、私のいけばな教室では現金精算をお願いしており、釣銭のために、より新しい硬貨になるよう日々入れ替えながら貯めている。汚れが沈着した100円玉も、真新しい100円玉も、その100円の価値は同じなのだが、汚い方は94円、綺麗な方は106円くらいの開きが実感としてある。去年のある時、私は手持ちコインを全部洗剤で洗ったくらいだ。私が初めて海外旅行に行った時、現地の紙幣の汚さに辟易したことを思い出す。あまりに汚過ぎて、親指と人さし指とでぶら下げるようにつまんだものである。

欠けた花器をそのまま使うか金継ぎして使うか、趣味の分かれる所だが、私は金継ぎができないという理由から、欠けたまま使うしかない。いま日本の金継ぎが世界的に注目されているようで、私も良いとは思うが、できれば銀の方が好みに合う。

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