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いけばな随想
diary

合作のいけばな 240415

2024/4/22

 いけばなには、複数人がリレー形式でいけていく「連作」の方式もあるが、ここで言うのは「合作(共同制作)」だ。
 演劇であれば、音響・照明など様々な役割の分業体制が敷かれる。しかし、いけばなにおいては、制作者全員が「プロデューサー」兼「監督」兼「脚本家」兼「運搬係」兼……の兼任なので、名前の出る制作者全員がみんな主役ということであって、主役の乱立はもう大変だ。
 大抵の場合は、資格や年齢などの微妙な力関係の影響によって、落ち着くべき所へ落ち着くことにはなるだろう。けれども、その差があまりない場合、自分を主張しながら他を尊重するという、ぎりぎりの駆け引きを静かに繰り広げることになるだろう。そのとき一番困るのは、メンバーそれぞれの主張よりも遠慮が勝って、つまらない成果に終わってしまうことである。
 そんなことを思うと、大きい作品でも、1人で制作する方がよっぽど楽かもしれない。または、ずば抜けた実力のある“棟梁”のもとにチーム編成するかのどちらかだ。空間に構造を組み上げていくという点で、大きい規模のいけばなは、建築に似ている。

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