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いけばな随想
diary

四角い風景 241117

2024/11/17

 故赤瀬川原平さんの本に『四角形の歴史』がある。カメラのファインダーが丸くなく四角であることから話は始まり、犬は人間のように“風景”を見るのだろうか? という疑問に話は吹っ飛んでいく。
 人間だって、みんながみんな同じ風景を眺めていると思うのは幻想である。知人の店では、いけている花が目に入らなかった客が、枝先に服を引っかけて花瓶ごとひっくり返してしまった。その客の見る風景に、花は意識されていなかったということだ。人が見る風景は、彼や彼女が意識して見たものだけで構成されているということ。
 そう考えると、いけばな展に来ているくせに全然花を見ず、花を見ている女ばかりを眺めている男がいるのも頷ける。花を見ず女ばかりを見ている男を見ている私は、その時やはり花を見ていない。
 再び戻って四角い話題である。何を意識して見ているかは人それぞれだが、赤瀬川さんが問題にするのは、みんな四角い窓から外を見るように、四角いスマホみたいな視界で風景を見る癖がついているのではないかということ。いけばなを見るにも丸く見ないで、みんなも四角く見ている?

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