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いけばな随想
diary

塊の表現 231208

2023/12/11

 小学校・中学校を通して習字の教室に通っていたので、私は墨の香りが好きになった。先生がお亡くなりになって、新たに紹介された先生とは反りが合わず、通うのをやめてしまったのは残念だった。しかし、その後も自己流で、墨文字を書くことを続けてはきた。
 文字と余白の関係は、主役と脇役の関係ではなく、それぞれが気ままに主客逆転するような関係だと思うが、紙の上に墨を置く時、私は文字が生まれる様子よりも余白の現れ方に心が奪われる。
 その延長線上で、いけばなにおいても、私は“線”による表現を突き詰めたいという気持ちが強い。何も気を引かないボンヤリした空間があっても、そこに“線”をいけることで、存在感のある余白空間が現れるというのが私の目指すところだ。
「言うは易く行うは難し」で、私はしばしば“塊”をいけてしまう。“塊”は密度が高いので、人の目を引きやすい。うっかりすると、重厚長大に仕上げてアピールしたいという誘惑に駆られてしまう。
“線”を自在に操れるようになる前段階として、“塊”を最小化するいけばなを練習することが目下の課題である。

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