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いけばな随想
diary

好きな花 240506

2024/5/11

私はヒナゲシが好きだ。マーガレットも好きだし、1本2本の少ない数であればコスモスもいい。殺風景な荒野や河原、断崖などに、そういう茎の細い花がまばらに咲いているという切なさがたまらない。

ところが、そういう花をいけばなに使いたいかといえば、これはもう完全に苦手だ。なぜなら、いけばなで荒野の雰囲気を出すのが難しいからだ。いけばなで、花を野にあるようにいけるのは大変難しい。かといって、野でヒナゲシをいけるかというと、野にあるヒナゲシをわざわざ切ってその現場で使うくらいなら、切らずにそこにいさせてやりたい。

そんなわけで、私の場合は好きな花と、いけたい花とが一致しない。

もう少し説明を繰り返す。ヒナゲシならヒナゲシを切り取って屋内に持ち帰るとしよう。その花を、さきほど野にあったとき以上に儚く美しく寂しげにいけられる見込みが薄いのなら(切り取った責任を果たせないのなら)、雨も降る風も吹く彼らのいた場所で、彼らの人生を全うさせてやりたい気持ちなのだ。

いけばなを行うシチュエーションと花との組み合わせは、とても大事な作業なのだ。

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