季節を忘れて 250120
2025/1/20
四季の移ろいが、人々の生活文化や芸道を支えてきたような日本なのに、なんてこった! とても暖かい大寒だった。
昨秋から暑い日々が続いたかと思えば、急激に寒波がやってきたりして、いけばなで使う花材も例年通りのものは手に入らなかった。特に、南天や葉牡丹、蝋梅などが、年末になっても例年価格ではなかなか見当たらなかった。着る服も食べる物も、品薄だったり価格高騰が大きかった。
既に私の身の回りでは、かつての季節感はほとんど失われ、亜熱帯のような別の季節感が漂ってきている。「移ろい」という生易しいものではなく、切り替わりというような段差的な季節変化である。こうなると、季節を少し先取りするというような風流なことはできない。花木の方に、次の季節を迎える準備ができていないからである。食材も同様なので、人間の体も次の季節に馴染むだけの準備が不足して、大きい変化を被れば当然体調不良を招く。
そういう気候変化と、また、国際化や物流の進展によって、お金さえ積めば欲しい花はいつでも手に入る。愛媛産の「さくらひめ」も、秋には北国産を入手できる。