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いけばな随想
diary

完成度 240328

2024/3/29

 著名な画家の絵の中には、シロウトからすれば「塗り残してるじゃん」としか見えない作品もある。陶器にも、「歪んでるじゃん」というのから、「少し欠けてるじゃん」というのまである。
 日本のバブルが弾けていない1990年代後半、パリの高架橋の下に並ぶブティックの店頭に、日本のいけばなにインスパイアされたような、生花のディスプレイがちらほら見られたので、その後の行動では、店頭ディスプレイを気にしながら歩くようにした。
 総じて言えることは、日本の工芸的職人芸を見るような見方をすると、雑さが目に余るものが多かった。しかし、繊細な仕上げ技術よりも、造形全体の構成力が優れている方が、歩いている自分の目を楽しませるという点で芸術だと思った。
 いけばなは、汚らしい仕上げよりも、美しい仕上げの方が望ましいというのは、どちらかといえば工芸品への期待に近いものを感じる。美しい方がいいに決まってるでしょ? と言い切ってしまうと、いけばなと芸術とは別のジャンルになってしまいかねない。
 いけばなの美の完成度をどう見せるかが、その作家の傾向と対策だろう。

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