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いけばな随想
diary

完璧 231120

2023/11/20

 チームの仕事は、個々の思いの面では妥協があるが、技術的な補完関係で完成度は高まる。 
 学生時代、制作集団フェアステージという演劇サークルに所属した。道具、美術も照明も音楽も、劇団メンバーで全部やった。各人の思いが交錯すると苦しかったが、とても楽しかった。
 個人の仕事は、技術的な面での情けなさがあるが、思いの面での妥協はしなくてよい。
 自由業でデザイナーをしていた時期がある。仕事を1人で一から十までやりたくて、営業もイラスト描きも写真撮影も、印刷用のレイアウトも全部自分でやっていた。お金にならないし技術的な壁にぶつかると苦しかったが、とても充実していた。
 いけばなは空間に展開する点で演劇的だし、個人での仕事の仕方はデザイナー的だ。空間展開を徹底していくと、花器も気になるし、後ろの壁も気になる。そして、視界に入り込むすべてが気になってくる。他人が作った花器を使って、他人が造った空間にいけるとき、思いの面でも技術の面でもどこかに妥協が生まれる。
 しかし、その時、全力でやってみることのできる環境にあれば、万々歳の完璧だ。

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