小さく変身する 250423
2025/4/24
お稽古のとき、生徒さんたちの間で作品の派手さや地味さ、侘び寂びなどの話が交わされた。せっかく花をいけて飾るなら華やかな方がいいじゃないですかという主張は頷ける。しかし、私は派手さを抑えたスタイリッシュなのが好き……と言いつつ毒々しいのも好きだから、自分の好みですら一語では言い当てられない。
相対的な関係で左右される感覚を固定的なものにはしたくないのである。たとえば、暗いところのわずかな明かりの方が、明るいところの強い明かりよりも明るく感じられる。
出来上がったいけばなを、自分が小人のように小さくなって見上げていると想像してみる。不思議の国のアリスのように自分と世界との大きさ関係が変わったら、見ている物が同じでも見えている印象は大いに違うはずである。
華展会場に並んでいる花を見るとする。作品の大小は変えられないから、自分が大きくなったり小さくなったりするイメージで見てみる。小さい作品よりも大きい方が目立つと思いがちだが、イメージの中で自分自身を小さくするならば、侘びたいけばなですら派手がましく見えるというものだ。