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いけばな随想
diary

心の余裕(2) 240219

2024/2/27

仕事人間の立場では、とかく効率や合理性を求める。しかし、行為の向こうにゴールがないいけばなには、効率や合理性は不要だ。

かつて、仕事が忙しく、とてもいけばなの稽古どころではないという境遇の時、先生はいけばなに妥協を持ち込もうとする私の態度に容赦なかった。「仕事はなりわいで、いけばなは趣味じゃん」という優先順位を、私の先生は絶対に付けさせてくれなかった。先生にとって、いけばなは趣味ではなく人生だったのだと思う。

おかげで、仕事のハードワークにいけばなのハードワークが加わり、私の時間はどんどん私のものではなくなり、病気を誘発する一因になったかもしれない。ちなみに、私の先生も、その後心臓を悪くしたり大腸が破裂したりしている。

さて、私も歳を取り、いけばなとの向き合い方が変わってきた。没頭する時間が増えた。集中と非集中の強弱によって、どちらの場合にも余裕が生まれてきたと感じる。

いけばなで仕事をしなければならないとか、いけばなを仕事にしなければならないという構え方がどうでもよくなり、心に余裕が生まれているのかもしれない。

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