手際 240112
2024/1/15
いけばなを始めてから、理屈っぽい私の性向が変わり、手探りとか手習いという身体的な学びの大切さに目覚めてきた。
身体的な五官でいうと、年齢的に目や耳は確実に悪くなってきている。鼻詰まりもよくあるし、歯や舌の状態も相当悪い。ところが、手は荒れるしいつも肩が凝っているような状態だから触覚も減退していると思いきや、五感の働きの中で、触覚だけは弱くなったからこそより敏感になった感じがする。
そんなことで、いけばなに求められる「切る・曲げる・留める」手の技術を、観念的ではなく身体的に理解できるようになって思うのは、言葉で手際良く説明したとしても、その手際の良さが必ずしも生徒さんの理解にとって十分ではないということ。手際というのは、文字通り「手の際」の問題で、そもそも「手際よく説明」することなど、できない話だったのである。
残念なことに、私には生徒さんの手の感覚はわからない。見た様子から推測して、言葉でこうした方がいいよと言っても、それが生徒さんの頭に伝わり、頭からの指令が手に伝わるかは相手次第だ。手際のいい手習いは難しい。