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いけばな随想
diary

技術力 250304

2025/3/4

 先日、砥部焼を自分でつくるワークショップを草月会愛媛県支部で開催したとき、同じデザインの皿を何十枚も作っている窯元の様子を見て大変な仕事だと感じた。レストランのシェフも大変で、ブーケをつくる花屋さんも大変で、とにかく私にとって同じ商品を何十、何百とつくることは全て大変に思えるのだ。
 しかし、少量多品種よりも1つの商品の大量生産が儲かる秘訣であることに変わりはなく、商売である以上は儲けることがまっとうな取組なのである。その点いけばなは儲けにくい。
 商売をしている人には聞き流してもらいたいが、大量に作るためには創造性を抑制して決まったパターンを機械的に繰り返す必要がある。下手に反省したり改善を繰り返したりすると、たちまち時間も奪われて収益性が低くなる。作業をしている間だけは、クリエーターとしての自分を殺してオペレーターに徹することが大事だ。
 しかし一方で、オペレーターとしての安定した高度な技術が身に付いているからこそ、その技能に見合った創造性が発揮できるということも、砥部焼の成形にジタバタ取り組みながら思ったものだ。

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