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いけばな随想
diary

描きいけ(かきいけ) 231017

2023/10/17

 いけばなの取り組み方には、3つのパターンがあります。(1)完成予想図を頭に描いてから花材を用意して着手。(2)与えられた花材を眺めつつ完成予想図を頭に描いて着手。(3)完成をあまりイメージせず気ままに花材と戯れつつ進める。
 料理人も、普通はメニューに従って(1)の要領で食材を調達しますが、私の知る小松要さんというシェフは、かつて漁師さんや農家さんに「旬のものを今日は3kg持ってきて~」という調子で発注し、やってきた食材を並べつつ(2)の要領でその日のディナーコースを考えておられました。家庭で日々の料理を作る人も、冷蔵庫の食材とにらめっこしながら(2)の要領で献立を考えることがあると思います。
 私がお稽古用の花材を仕入れる時は、生徒さんの顔とその日のカリキュラムを思い浮かべつつ、花店に並んだ花木の中から直感的に相性のいい花材を仕入れます。生徒さんは(2)か(3)のパターンで取り組みますが、(3)のパターンで取り組んで終わりなく楽しんでしまう人のために、草月流には「描きいけ」というカリキュラムがあって、完成予想図を紙に描いてからいけ始める(2)を練習します。

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