暴走して価値を知る 250203
2025/2/3
回り始めたろくろの土の塊に、左手の親指を差し込む。草月流愛媛県支部メンバーの昨日の花器制作ワークショップである。
初めて陶土に触れる人も初めてろくろを回す人もいて、教える作家さんも戸惑ったに違いない。私には陶芸家の友人がいたから中途半端に知識があって感覚が鈍っていたが、初めて陶土を触る人の指は驚きに満ちた震えを伴っていて、見ている私の指先にも同じ感覚を呼び覚ました。
一方で、初めての人は技術的限界を知らないから、つくりたい作品イメージは作家の技術をさえ脅かすものだった。当然望み通りにはつくれないし、妄想を抑えても抑えても、実際には初心者がつくり得ない非現実的な世界から戻ってくることはできなかった。そして、無茶だと言われた挙句の果てに、実際にやってみてやっと無理だと知るのであった。
手助けしてくれる作家には大変な思いをさせてしまったが、我々とって経験が糧になることを改めて実感する機会だった。売られている花器に、どんな価値が隠されているかを知ったのだから。最後は妥協して、焼き物の腕も上げたいと口々に呟く私たちがいた。